2010年5月23日日曜日

こんなに手厚い社会保険(その1)

すでに高額療養費制度は解説しましたから、今回は社会保障制度の全般について説明します。
憲法に基づき国民が人間らしい生活を営めるよう保障しようと設けられた国の制度が社会保障制度です。

国の制度(社会保険)には、医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険、介護保険の5種類があります。
個人が保険加入を考えるとき、第1に考慮しなければならないのがこれらの国の社会保障制度です。

次に地方自治体の各種助成制度です。(住んでいる地域により特色があります。不妊治療助成金なんてのもあります。)

3番目には、勤めている会社の福利厚生制度です。(会社には、企業年金や、団体定期保険、医療費補助制度などがあります。)

そして最後に、それでも不足する場合は、自分の給料から保険料を出して、保険に入ることになります。

【国の社会保障制度】
1 国民年金、厚生年金、共済年金
年金制度は複雑で分かりにくいのですが、国民年金法が土台にあり、その上に厚生年金保険法などが乗っているイメージです。

ですから、生涯サラリーマンだった人は厚生(共済)年金の被保険者なのですが、自動的に国民年金にも加入(2号被保険者)しており、65歳からは、国民年金から老齢基礎年金(約79万円)を、厚生年金から老齢厚生年金(約110万円程度、平均給与額が多いともっと多くなる)を貰えます。

1号(自営業者とその妻)と3号(サラリーマンの妻)は国民年金からの老齢基礎年金だけが給付されます。

1号や3号でも途中で2号の期間が1ヶ月でもあれば、そのときの標準報酬と期間に応じた老齢厚生(退職共済)年金が貰えます。

【老齢基礎年金、老齢厚生(退職共済)年金】
老齢基礎年金は、国民なら全員が貰えます。
ただし保険料を10年(120ヶ月)以上支払っていること。(免除期間やから期間(昭和61年前の任意加入の期間)は加算してくれます。)

年金額は保険料の支払月数を掛けた額となり、40年間(20歳~60歳)、つまり480ヶ月支払うと約79万円の年金が貰えます。

2号の人(サラリーマン)は、標準報酬と勤続期間に比例した老齢厚生(退職共済)年金が老齢基礎年金にプラスして貰えます。(このほかに、公務員には職域加算があります。)

主婦の方は、1号、2号、3号を渡り歩くことが多く、年金記録がない場合がありますから、「ねんきん定期便」でよく確認しましょう。

その他に、1号の方には国民年金基金が扱っている付加年金があり、月400円を払うと、200円×保険料納付済期間分の年金が毎年もらえます。(2年で元が取れますのでお得です。)

2号の方(特に大企業)には厚生年金基金があり、老齢厚生年金の上乗せとして老齢年金がもらえます。
これら以外に確定拠出年金(いわゆる401K)がありますが、それについてはまたの機会に。

【遺族基礎年金、遺族厚生(共済)年金】
夫に万一の時は、国民年金から、残された遺族に遺族基礎年金(79万円+子の加算)が支給されます。

遺族とは、18歳未満の子がいる妻、または子が対象となり、子のいない妻には60歳から寡婦年金が支給されます。(妻が死亡しても「主夫」には支給されません。)

注意
妻により扶養されていた夫及び両親、祖父母について、妻が死亡した時点で55歳以上ならば、60歳から遺族厚生(共済)年金が支給されます。


夫が厚生(共済)年金加入者で死亡したときは、さらに遺族厚生(共済)年金(老齢厚生年金額の3/4)が上乗せ(子の有無は問わない)されます。

また妻が40歳以上で18歳未満の子がいない妻(寡婦)には中高齢寡婦加算(59万円)があります。
(子があれば遺族厚生(共済)年金+遺族基礎年金(79万円+子の加算)がもらえますが、子がいなければ遺族厚生(共済)年金+中高齢寡婦加算(59万円)がもらえるということです。)

遺族厚生(共済)年金は、加入期間にかかわらず遺族(妻の年齢制限あり)に支払われ、加入期間が25年以下なら300ヶ月分の報酬比例額×3/4が最低保証されます。

障害基礎年金障害厚生(共済)年金
病気やケガなどで障害者(65歳未満、65歳からは老齢基礎年金)となったとき(初診日から1年6月後)、その程度に応じて、国民年金加入者は障害基礎年金(1級99万円、2級79万円)が、厚生(共済)年金加入者はさらに傷害厚生(共済)年金(3級)が受け取れます。

年金制度については、議論はいろいろありますが、制度としては非常によい内容です。
ただそれを管理している役人の問題や、保険料の未払い者が多いことなど、長期に安定的に制度を維持することが困難になりつつあります。

しかし、夫に万が一のことがあると、遺族年金から合計して5千万円ぐらいの給付がされますので、遺族補償の大きな柱となります。

30代の妻、子2人の遺族保障は約1憶2千万必要ですが、将来(遺族年金+死亡退職金+妻の収入)で約8千万ぐらいの収入が見込めますから、残りの4千万が必要保障額になります。

会社に団体定期保険があれば、これに4千万加入することで、万が一の保障は万全です。
会社等の保障については、また後で・・・

こんなに手厚い社会保険(その2)