2011年5月29日日曜日

医療保険とがん保険を検討するときに参考となる入院日数、医療費等の資料


(図はクリックすると拡大します。)


全日本病院協会のホームページで興味深いデータを見つけましたのでご紹介します。

医療保険などを検討する際に必要となる基礎的なデータが網羅されています。

この表だけでは数値の羅列でなかなか理解しづらいと思いますので各項目ごとにコメントを付けています。

1 入院日数

最長は「脳出血(頭蓋内出血)」の46.2日です。死亡率も16.6%と高く、一命は取り留めたとしてもその後のリハビリに長期を要し、医療費も高額(178万円)です。
保険で備えるべき主要な疾病と言えます。

参考
医療費=点数×10円
患者負担額=点数×3円(3割負担の場合)

2位は「大腿骨頸部骨折」の44.3日です。高齢の女性に多く(88%)、長期のリハビリも必要となり、手術等を含めた医療費は「脳出血」とほぼ同程度と高額(163万円)です。

3位は「脳梗塞(脳血栓等)」の35.5日です。高齢者に多く発症し、また入院患者数も2位の441名(14%)となっています。死亡率は4.5%と「脳出血」よりはかなり低くなっています。

4位は「膝関節症」の21.9日です。これも高齢の女性に多く発症(85%)し、医療費も「大腿骨頸部骨折」と同程度に高額(159万円)となっています。

女性の医療保険を検討するときに「乳がん」や「子宮筋腫」などがイメージされますが、両方合わせても入院患者数は73人ですが「大腿骨頸部骨折」及び「膝関節症」は合計157人と倍の人数となっており、しかも医療費は約3倍近くにもなります。(つまり経済的なリスクは6倍もあることになります。)

女性は60歳までは「乳がん」、高齢になったら「大腿骨頸部骨折」及び「膝関節症」に備える(医療保険への加入)必要があります。(この病気は寝たきりや歩行困難となる可能性もあります。)

5位は「胃の悪性新生物」及び「結腸の悪性新生物」で約20日です。胃がんはやはり男性が多く(67%)死亡率は11.8%と「脳出血」よりは低くなっています。


2 死亡率

死亡率1位は「急性心筋梗塞」で25%となっており、4人に1人が入院後に亡くなられています。高齢の男性に多く(64%)また医療費も最高額(195万円)となっています。

2位は「脳出血」です。

3位及び4位は「肺炎」と「気管支および肺の悪性新生物」です。両方合計した患者数は422名と「脳梗塞」に次ぐ多さ(13.5%)であり、高齢者特に男性に肺がんが多く発生しています。(禁煙によりリスクはかなり低下するのではないでしょうか。)

5位は「胃の悪性新生物」の11.8%です。高齢の男性が多く(67%)、入院日数や医療費は最下段に記した平均値に近くなっています。


3 医療費

1位は「急性心筋梗塞」 195万円。(患者負担 59万円)
2位は「脳出血」 178万円。(患者負担 53万円)
3位は「大腿骨頸部骨折」 163万円。(患者負担 49万円)
4位は「膝関節症」 159万円。(患者負担 48万円)
5位は「脳梗塞」 112万円。(患者負担 34万円)

注:
患者負担額は医療費の3割の金額を記しています。
しかし高額療養費制度がありますから、すべて保険診療の場合、月の支払額が10万円を超えることはありません。(差額ベッド代などは別です。)


4 平均年齢

高齢者については前記のとおりです。
60歳以下の人については、入院患者の約10%程度ですから、全般的な疾病のリスクは低いと言えます。

ただし女性は、60歳以下の死亡率1位が「乳房の悪性新生物」5.3%となっていますから注意が必要です。(マンモグラフィー等の予防体制が充実してきていますから、早期発見によりこのリスクは減らすことができます。)

「乳房の悪性新生物」の入院日数は12.2日、医療費60万円(患者負担 18万円)となっています。

一方この年代の男性については「病気」よりも事故による「怪我」のリスクが高いものと考えられます。


まとめ

以上のような事実は一般にはなかなか知られていないことではないかなと思います。

医療保険やがん保険を検討する際にはこの資料をもとに判断されることをお勧めします。


参考




保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。


川島FPのつぶやき

最後に、保険会社はもっとまじめに契約者のことを考えて、このようなデータに基づいて保険を設計してもらいたいものです。

アンケートなどにより「要望」に基づいて保険を設計するという考え方は「売れる保険」を作りたいという極めて卑しい姿勢だと私は考えます。

いざと言うときに本当に役に立つ保険とは、客観的データにもとづき、契約者がどんな場合でも困らないよう過不足なく保険給付できるものです。

現状では、契約者側があいまいかつ不十分な知識により保障を選択していますが、保険会社は正確かつ適切な保障の選択肢をお客様に提示すべきです。