2013年8月30日金曜日

アフラックの研究(その4)

5 契約単価と利益

1契約当たりの平均月額保険料と利益額を次のグラフに示しています。(独自に推計)
(グラフはクリックすると拡大します。)

終身保険は貯蓄性があるため1件当たりの月額保険料は1万2千円を超えていましたが、リーマンショック後はやや低下しています。

がん保険及び医療保険などの第三分野の平均月額保険料は年々低下し、23年度には4000円以下となりましたが、がん保険DAYSの投入により24年度は歯止めがかかったように見えます。

個人保険の平均月額保険料は、終身保険の恩恵により21年度以降回復傾向にあり、24年度は6000円台に乗せています。

しかし1契約当たりの利益額(年額)は7~8千円付近で足踏み状態です。

このグラフより、アフラックとしての今後の課題は第三分野商品(がん保険+医療保険)の契約単価を引き上げ、しっかりと利益が上がる態勢にすることと考えられます。

その方向でアフラックはEVERもDAYSもリニューアルするのではと私は推測しています。


6 保険料関係収支

保険料収入と保険金の支払い額の状況を次のグラフに示しています。

(グラフはクリックすると拡大します。)

保険料収入(個人保険計)のオレンジの線は右目盛り、保険金等支払い額の紫の線は左目盛りとなっています。(単位は億円)

右目盛りは左側の2倍となっていますから、グラフが重なる所では、保険料収入の半分(50%)を保険金として支払っていることになります。

このグラフより、19年度以前は保険金支払い額は保険料の50%を下回っています。

アフラックは19年度に調査結果として不払い件数が19,169件、保険金等の不払い額が19億円あったことを公表しています。

この不払い事案を反省してなのか20年度、21年度は保険金等の支払い額が保険料収入の50%を超え良くなりましたが、22年度以降は50%を下回り、もとの状態(50%以下)に戻ってしまいました。

金融庁の検査が入った原因はこんな所にあるのかも知れませんね。よく分かりませんが。


7 アフラックの今後の経営について

その1で記したように、日本のアフラックの株主はAflac Incであり、Aflac Incの元に米国本社と日本支社があります。

Aflac Incの事業報告によると、2013年1月から6月までの税引前事業利益は、アフラック米国社5.6億ドルに対して、日本支社は19.3億ドルと3.4倍の利益を稼ぎ出しています。

米国の人口は日本の2.5倍3.1億人ですから、アフラックは本国よりも日本で8.5倍も割の良い商売をしていることになります。(日本人の保険好きとアフラックに有利な経営環境による効果と言えます。)

Aflac Incはニューヨーク証券取引所に上場していますから、四半期ごとに事業報告を公表しています。

報告内容は、日本社の「不正直」な内容と比較すると「株主利益」に対してとても真剣に応えています。

一部を抜粋すると、
「当社の予想通り、2013年第2四半期の日本社の全体的な販売は、2012年第2四半期に比べ減少した。この減少は、主として以下の二つの要因によるものである。一番目の要因は、予定利率の引き下げを反映した「WAYS」及びその他の第一分野商品の保険料率の引き上げであり、二番目の要因は、株式及び確定利付証券の投資リターンが改善し、銀行の顧客の多くが「WAYS」のような保険商品から投資信託へ目を向けるようになったことである。」

「2013年の当社の販売の目標及び重点施策は、引き続き、がん保険及び医療保険商品を含む、日本社の第三分野商品の販売に集中している。予想通り、第2四半期の第三分野商品であるがん保険及び医療保険商品の販売は減少したが、引き続き当社は、その第三分野商品への消費者の反応が、主として日本社が8月に発売する新しい医療保険商品によって、2013年下半期、特に第4四半期に強くなるものと確信している。従って、当社は日本社の第三分野商品の通年の販売が、対前年比横ばいから5%増となると引き続き確信している。」

「2013年7月26日、日本社は2008年に最初に設定された郵便局とのパートナーシップをさらに拡大するため、日本郵政株式会社と新たな契約を締結した。この提携を通じて、日本社のがん保険商品を販売する郵便局を、現行の1,000局から20,000局まで順次増加させていく予定である。また、かんぽ生命は、関係当局の認可取得を条件として、日本社のがん保険商品をかんぽ生命の79の直営店全店で販売開始するための代理店契約を日本社と締結する。日本郵政グループとの協議に基づき、日本社は郵便局及びかんぽ生命専用のがん保険商品の開発を検討する。」

今後アフラックとしてはWAYSをあきらめ、主力の第三分野商品の新商品(がん保険も?)を投入してこ入れするとともに、販売チャネルの拡大に邁進するようです。




アフラックの研究(その1

アフラックの研究(その2

アフラックの研究(その3